相続登記の3つのパターンPattern
不動産の登記は国の機関である法務局で行う手続きとなるため、相続登記も法務局で行います。
相続には下記の3パターンがあり、相続登記もこの3パターンのいずれかの方法にもとづくこととなります。
相続登記の3パターン
- ・遺産分割協議による相続登記
- ・遺言書に従って遺産分割する
- ・法定相続分どおりに遺産分割を行う
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遺産分割協議による話し合いで相続登記する
相続登記は遺産分割協議の話し合いの際に決めることができます。
相続人が1人の場合はそのまま相続登記してしまえばいいのですが、相続人が複数いる場合は誰が相続登記するのか?を話し合う必要があります。この際に相続登記する相続人が決まらないからといって、複数の相続人で登記を行うと、不動産売却時などに全員の許可が得られず、「思うように売却できない」といったトラブルに見舞われる可能性があります。どういった場合に不動産を売却するのか、またどのように不動産を管理していくのか、といった話し合いを行った上で、相続登記は行いましょう。
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遺言書にしたがって遺産分割を行う
亡くなった方が生前に遺言書を残している場合、遺産分割協議を行う必要はありません。
相続人全員で遺産分割協議を行って合意しない限りは、遺言書のとおりに遺産分割を行うこととなります。ただし、相続人の中に1人でも遺産分割協議を行うことに反対し遺言書のとおりにしたいと主張すれば、遺言書により遺産分割することとなります。
遺言書に書かれたとおりに遺産分割を行った場合、相続登記を行うためには遺言書を法務局に提出する必要があります。
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法定相続分どおりに遺産分割を行う
法定相続分どおりに遺産分割を行うことで、持分を設定して共有することができます。
この方法で遺産分割を行うと、単独で相続登記することができますが、遺産分割協議がまとまらない場合に仕方なく手続きすることが多いため、不動産売却時などに相続人同士で揉める可能性が非常に高くなります。
とはいえ、相続登記後すぐに「不動産売却手続きに入る」といった同意が相続人の間で取れており、面倒な手続きを省きたい、といった理由であれば全く問題ありません。
不動産の相続登記をしないリスクRisk
土地や建物、マンションやアパートなどの不動産を相続したら、法務局で相続登記をしなければなりません。
相続登記は2021年の時点では相続登記は義務ではありませんが、将来的には義務化が決定されています。
また現時点においても、相続登記をせずに放置すると以下のようなリスクが生じるので注意しなければなりません。
相続登記をしないリスク
- ・第三者に先に登記されて権利が失われる
- ・権利関係が複雑になる
- ・子孫に迷惑を掛ける
- ・義務化以降、ペナルティがある場合も
- ・「特定空き家」に指定されると
高額な固定資産税がかかる
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第三者に先に登記されて権利が失われる
不動産を相続しても登記せずに放置して先に第三者に登記されてしまったら、その第三者へ権利を主張できなくなってしまいます。
せっかく相続した不動産を失ってしまうリスクが発生します。
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権利関係が複雑になる
相続登記せずに放置している間に所有者が亡くなって2回目の相続が発生すると、不動産が次の世代(相続人の子どもなど)へ引き継がれます。
ところが不動産の所有名義は「祖父(祖母)」の代の人のままなので、客観的に誰が権利者か非常にわかりにくくなって混乱が生じるリスクが発生します。
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子孫に迷惑を掛ける
相続登記しないまま所有者が死亡して次の世代に引き継がれた場合、次の世代の相続人は「祖父母の代」と「親の代」の2世代分の相続登記をしなければなりません。必要書類も膨大になり、大変な手間が発生するので子どもたちに迷惑をかけてしまうでしょう。
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義務化以降、ペナルティがある場合も
2021年の時点で相続登記は義務ではありません。しかし不動産登記法が改正され、2024年を目処に義務化されることが決定しています。
法律が施行されると基本的に「相続してから3年以内」に相続登記しなければなりません。登記しないで放置すると「過料」の制裁が適用される可能性もあります。
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「特定空き家」に指定されると高額な固定資産税がかかる
建物を相続した場合、管理を怠っていると「特定空き家」に指定される可能性があります。特定空き家とは、周囲の景観や環境を著しく悪化させたり危険を発生させたりする可能性のある空き家です。
特定空き家になると固定資産税の減額措置が適用されなくなるため、これまでより高額な税金を払わなければなりません。
以上のように不動産を相続し相続登記をしないで放置するとデメリットが多数発生するため、早めに法務局に行き相続登記をしなければなりませんが、自分で対応するのが難しい場合には不動産相続の専門知識を持った相続コンサルにご相談ください。
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相続登記に必要な費用Cost
不動産の登記には費用がかかります。
相続登記であっても例外ではありません。
相続登記には主に下記の諸費用がかかります。
相続登記に必要な費用
- ・登録免許税
- ・司法書士報酬
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登録免許税
登録免許税は法務局に対して支払う税金の一種で実際には、登記手続きを行う際に収入印紙を登記申請書類に貼付する形で支払います。
登録免許税の計算式は相続の場合、「不動産の価額×1,000分の4」です。
ここにある不動産の価額とは、固定資産税評価額をいうものとされているため、毎年市町村から送付されてくる固定資産税課税明細書でその金額を確認することができます。例えば、固定資産税評価額が3,000万円の土地と1,000万円の建物を相続登記した場合の登録免許税は以下のようになります。
(3,000万円+1,000万円)×0.4%=16万円
登録免許税の額は、不動産の価額が高いほど高くなります。その金額も決して小さなものではありません。
しかし、相続登記の登録免許税に適用される1,000分の4という税率は、売買や贈与の際に適用される登録免許税の1,000分の20という税率の5分の1で済みます。
登録免許税がもったいないからといって相続登記を後回しにしないようにしましょう。
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司法書士報酬
相続に関する手続きを専門家に依頼するのであれば、司法書士に依頼することとなります。
司法書士に依頼するメリットは、登記手続きがスムーズに進むことや、必要な書類の取得などをまとめて依頼できることなどです。
特に相続人が全国各地に点在している場合や、相続した不動産が多くある場合には、よりそのメリットを実感できるでしょう。
また、手続きミスによる登記の誤りを防ぐうえでも大きな意味があります。
司法書士に依頼すれば費用がかかります。
報酬の額は一律に決められているわけではないため、いくらになるかは事前に確認する必要があります。
一般的には、自宅の建物とその敷地の相続登記を依頼すると10万円程度の費用がかかるといわれます。
不動産の件数やその所在地などによって報酬の額が変わるため、相続登記が必要な物件の概要を伝えたうえで確認するようにしましょう。